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こどものために



 今年もまたおっちゃんの庭に変形の菊が咲いた。ま、菊と言うよりゴッホの向日葵だ。毎年、春は薔薇、夏は朝顔というように、おっちゃんの庭で季節を感じることになっている。


 昨夜、車の中で久々にラジオドラマというものを聞いた。途中からで内容はさっぱり分からなかったが、あー、あの時代だと郷愁を誘われた。小学生のころの数年間、ラジオドラマを楽しみにしていた。覚えているのは「赤胴鈴之助」「不思議なパイプ」、それにアイヌのことを知る切っ掛けになった「コタンの口笛」などだ。やがてテレビの時代に移り、「月光仮面」が子供たちの圧倒的な支持を受けることになるが、ラジオドラマがテレビに比べて劣っていたというものではない。ラジオドラマのキャスト、当時は声優などという言葉はなかったような気がするが、彼らは大したものだった。僕らはそれぞれに映像を思い浮かべながら聞き入った。もちろん漫画原作の赤胴鈴之助だったが、子供たちの数だけの赤胴鈴之助がそこら中にいたに違いない。テレビドラマも実写版からアニメへと移行していった。「鉄腕アトム」がその先鞭をつけたはずだ。「エイトマン」というものもあった。テーマ曲を歌った克巳しげるという歌手が10年後に殺人を犯して逮捕されて、エイトマンのテーマ曲は悪い連想を導くものになった。
 テレビがカラーになる頃、もっぱら受けていたのは人形劇の「ひょっこりひょうたん島」だった。熊倉一雄や藤村有弘などという達者な方たちが吹き替え担当で何とも魅力のある番組として広く知られていた。しかしながら、僕らはこども向けの番組からは卒業する年齢になっていた。ずいぶん後になって、こちらが30代に達した頃、むかしのテレビ番組がテレビ開局何十周年とかで再放送された。その中に「月光仮面」もあった。月光仮面の悪役として仮面をかぶった「サタンの爪」という怖い役柄があった。見ていた僕らは怖気を震ったものだったが、大人になって見るサタンの爪の手は布製のグローブのような粗末なものだったし、爪に至っては銀紙が貼られた情けないものだった。しかし、そのようなものを僕らは怖がって見ていたわけだ。大人は何とチャチなものかと思っていたかも知れないが、僕らは画面に出てくるものをちゃんと補正しながら見ていたわけだ。こどもの想像力は大したものなのだ。悲しいことに僕らはある日その想像力を失うらしい。

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