☆☆☆

どさ


 昨日の雪の後だ。寒さも一際で、このような日に限って車が使えず、おまけに通院日。不運は嘆くよりも与えられた状況を楽しむに限るってんで、電車で向かった揚げ句に病院までの15分ほどを歩いたりしてみた。陽当たりに恵まれないビルの陰の植え込みは残った雪が寒々しい。

 
 なんだかんだで長引いて帰りは夕刻になったわけだが、この時間の寒さというものが凄まじかった。ま、寒い地域にお住まいの方々にとっては「なんの」なんだろうけど、最後のバスを待つ間、頬に当たる風は拷問のように冷たく、そういえば手袋というものがあったよなあと改めて気付くほどに冷気が襲う。バスを待つ列には10人ほどの人がいたのだけど、ま、だいたいみんな言葉もない。ただひたすら寒さに耐える。  
 弟がむかし言った。「兄貴よ、同僚に東北出身者がいるんだけどさ、そいつが言うには、寒い地域の者は無駄に口を開かねえんだってよ。なにせ、寒いから。で、なっ、どさ、ゆさって分かるか?」「なんだよそりゃ」「何処に行くんだ。湯に入りに行くんだ、って意味でさ、できるだけ短縮して喋るんだってよ」「なるほど」

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