☆☆☆

メリー


 頻繁に出歩くことは遠慮するように言われてはいるが、留守中に気掛かりだった所用もありあちこち歩き回った。ま、気が付くとクリスマスだ。半月以上家を空けていたから、その期間は無かったようになっていて、まるでタイムワープしたような気さえする。

 
 帰りにスーパーに寄ると、気の早いことに売り場の商品が、毎度お馴染み正月向けの無礼なものに変わっていた。例えば、いつもだったらあり得ない高額の蒲鉾がフツーに並び、それまであったはずのお求め安いものは姿を消していた。げっ、そうか、もう今年もあと一週間になったわけか。近ごろはスーパーだけではなく、コンビニでも店員がサンタの帽子をかぶっている。変な感じだ。クリスマスは年を経るごとにイヴェントというか、パーティの口実の度合いが強まっていて、宗教上のイヴェントである国からはどういう風に見えるんだろうと気になったりもする。
 僕が小学生の頃、すでにクリスマスはお祭りの一種だった。月刊誌の12月号には必ずクリスマス関連の付録がついてきた。それは紙製のクリスマスツリーだったり、サンタクロースのソリだったりした。鐘やリースの派手な色合いは、遠い国アメリカの繁栄の象徴のようでもあり、子供の心を浮き立たせるには充分な効果があった。  
 昭和30年代はまだまだ敗戦国だったに違いない。だいたいが「メリークリスマス」などではないのだけど、豊かなアメリカに追いつけ追い越せが、いつの間にか追い越し過ぎて横道に逸れ、クリスマスを妙なイヴェントとして定着させたところがこの国の天晴れなところだとも言える。

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