☆☆☆

小売店

 
 新宿駅南口からサザンテラスを通り、大きな橋を渡って高島屋に向かう。この景色は以前にも紹介したが、何度通ってもその風情が心地よい。右側には「いぬてえてえ」のビルがそびえ立つ。けっこう偉そうなビルで、写真でははっきりしないが、あたりを睥睨するdocomoの文字が読める。電話屋がこれほどの存在感を示すようになろうとは。

  

 昨日、調整済の楽器を受け取った帰りに新宿に寄ったわけだが、目的は文具。ずいぶん前から使っているノーブル(noble)のルーズリーフ用紙(無地)を買うためだった。前に買った新宿駅ビルの上階にある伊東屋では取り扱いが終了していた。で、仕方なく、駐車していた高島屋に戻るところだったわけだ。楽譜を印刷するのに使うが、割合上質なクリーム地の紙で裏抜けもない。100枚で1080円。特別に高いものでもなく、コクヨなどにも50枚で518円のものがある。

   

 あたしの町にも東急ハンズってものはあって、ここで探せばあるだろうと赴いたが、「お取り寄せになりますが」と言う。じゃあ、ってんで取り寄せてもらおうとすると、「少しお待ち下さい」などと待たされ、なにやら相談でもしたらしく、「お取り寄せは5組単位となります」などと分からぬことを言い出す。えっ、何を言ってんだってなものなのだ。5組といえば500枚。あのね、あたしは印刷を生業にしているわけでもなし、一般人が一挙に500枚の用紙を買う時ってどんな時だよ、と言いたいのをぐっと押さえ、「こりゃ、だめだ」とあきらめた。それで、以前買った店へとなったわけだが、ここでもないとなると困ったと頭をかかえる、ま、かかえるのは少しだけだけど。高島屋にも東急ハンズはあるが、同じ系列だから探すのもやめた。この時点で俄然Amazonがクローズアップされていた。  
 Amazonは商品にもよるが送料なしのものも多い。これもそうだ。で、一組だけ注文する。明日には届く。  

 高島屋内のハンズはオープン当初は遊び心を刺激する本当におもしろい店だった。ユニークな商品が多かったし、2階から8階まで歩くだけでも楽しいものだった。上階には木材加工の店があって、設計図片手に材料をカットしてもらう人で賑わった。猫のためにいくつかテーブルのようなものを作った。天板を決め、種類豊富な中から足を選び、足を取り付ける場所を指定して穴を開けてもらう。それだけのことだったが、楽しいものだった。何年かしてそのコーナーが消えた。呼応するかのように店の様相は変わり始めた。マニアックな部分が影を潜め、郊外に多い大型ホームセンターと大差ない品揃えになりつつあるように思えた。  

 もちろん、このような傾向を非難するものではない。魚屋が姿を消し、本屋も肉屋もなく、文具店も極端に少なくなった。文具店を新宿の駅ビル以外で探せば、中野のサンモールまで無い。ま、通常の文具はコンビニで手に入るから。小売店はすでにその存続がとてもむつかしい時代に入って久しいわけだ。たぶんやがて無くなってしまうに違いない。  
 客はAmazonなどに集中することになるだろうというか、ほとんど移行してしまったと考えるのが正しいのかもしれない。小売店に比べればAmazonなどは超大売り店と言っていい。時代は音を立てて変わるのではなく、静かに誰も気付かないぐらい静かに変わっていくものらしい。

拍手[0回]

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

05 2018/06 07
S M T W T F S
2
4 7
10 13 14 16
17 18 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

(06/19)
(06/15)
(06/12)
(06/11)
(06/09)
(06/08)
(06/06)
(06/05)

アーカイブ

最新コメント