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忠義


 久々に見た「ハチ公バス」、渋谷区役所行き。環七から水道道路に入り山手通りを目指す。未だに忠犬として広く知られているわけだが、1935年(昭和10年)に世を去って後80年あまり、このようにバスにまで名が付けられているというのは凄いことに違いない。実際、駅に迎えに来ている姿は度々見かけられて知られてはいたが、虐待を受けたりすることもあったらしい。見かねた人の新聞への投書により、「いとしや老犬物語」として掲載され人々に広く知られていくようになったらしい。銅像は存命中(昭和9年)に設置され、除幕式にハチも参列している。



 大学教授の飼い主はハチを飼い始めて一年後に亡くなっている。僅か一年の同居だったわけだが、ハチはその死を受け入れることができなかったらしい。主人の死後3日間ほどは食事を取らなかったというから、ショックを受けていたことは確かなようだ。4日後の主人の通夜の日も、飼われていた他の2頭と共に渋谷駅に主人を迎えに行っていたという。忠犬の忠犬たる謂れだし、当時の人たちの感動を誘ったことは想像に難くない。
 大したものだと言いつつ、さてウチの猫だ。忠猫という言葉は聴かないから、飼い主に忠義を尽くす猫というものはいないとされている。懐きはするが仕えはしないのだ、猫ってものは。留守の時間が長くなると、ドアを開けたら飛び出て来てはしゃいだりはするけど、あれがまったく別の喜びであることは知っている。彼らは「ああ、ごはんが帰ってきた」と喜んでいるのだ。父ちゃんが帰ってきた、嬉しい、ではないのだ。あくまでも「ごはん」が帰ってきたのだ。そんなことは分かっていると言いつつセッセセッセと缶詰めを開けたり、水を換えたり、トイレの砂を捨てたりする飼い主というものは、結局のところ猫に仕える者であって、これは「忠犬」ならぬ「忠人」と言っていいのだ。銅像なんか建たないけど。

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