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明日を夢見て


 詳しく存じ上げているわけでもないが、テレビで見かけたことのあるタレントさんがライブのために移動中、事故で亡くなったニュースを聞いた。熊本まで車で行く途中の中国自動車道で事故に遭われた。中央分離帯に衝突した後、車外に出たところを後続車に轢かれた悲惨な事故だった。ニュースによれば、まずマネージャーが降りたところで後続車に轢かれ、後続車を制止しようとした彼も撥ねられた。写真などで見る限り、高速道路にしてはやたらカーブの多い地域で、雨の夕暮れ時。不運が重なったとしか言いようがない。気の毒な事故で、哀悼の意を表したい。

 熊本までの車移動は無茶なことのようにも見えるが、多くのバンドがそのような活動を基本にしていて珍しいことでもなく、まったく他人事とは思えない。ある程度の知名度を得たバンドなどは、楽器など機材を運搬するトラックが別途雇われていて、これはトランスポーター、略してトランポと呼ばれているが、このトラックが一足先に現地入りしてメンバーを待つ。大きなコンサートなどではスタッフが入る前に会場に到着しているわけだ。何台も連ねることもあれば、一台で賄っているものもある。メンバーは当日の飛行機や新幹線で現地入りする。  
 しかしながら、そのような大名ツアーが可能なバンドは限られているというか、そうではない方が圧倒的に多い。さすがにあたしほどの歳になるとそれは辛そうにも思えるが、若い頃であればそのような状況でも楽しんだろうし、なにしろ自分の好きな事をやっている充実感がすべてを支えてくれたに違いない。  

 あるプレイヤーは先輩に頼まれて車での東北地方のライブツアーに参加したそうだ。やるのは地方のライブハウスだから大したギャラは期待出来るものでもなかったが、楽しそうだと二つ返事で引き受けた。客の入りは今一だったが、初日のライブが終わり、宿泊先に到着して彼は蒼ざめる事になった。案内されたのは一部屋。先輩は慣れた様子で普通にお疲れさんなどと言う。一部屋に五人が雑魚寝をするという段取りに絶句したそうだ。ライブをやった店で寝泊まりするという話も聞くし、車での移動話には時折このような後日談がついたりもする。そのような現実が嫌になる前に売れてくれれば、それは懐かしい話にもなろうが、そう簡単に行かないのが世の中ってもの。

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