☆☆☆

病気だ、病気だ


 先ほどまでの雨が突然上がり、そこら中が光を浴びて輝き出す。この眩しさが嬉しい。

 
 このところの寒暖差に負けて、ついに風邪を引いてしまった。煙草も吸わないのにやけにのどが痛いなあってな感じはあったが、風邪だと気付くのが遅かった。ま、メシが食えないというほどでもなく、微熱があるという程度。  
 で、思い出したのは松本医院の先生。顔もはっきり記憶している。子供のころ、風邪を引いたりすると必ず連れて行かれた。父はよく「あのヤブが・・」などと言っていたが、そのヤブに連れて行かれてだいたい注射を打たれた。で、あの時の注射がなんだったのかは知らない。解熱剤を打つほど高熱でもなかったし、どうせ栄養剤でも打っていたに違いない。あれは風邪を引いた本人と周りの大人を安心させるための安心剤であったような気がする。

 

 八幡にいる幼少の頃は往診だった。看護婦を連れていたかどうかは覚えていないが、医者の持つ、あの妙に膨れた黒い鞄は覚えている。あの中から聴診器をとり出し、最後はやはり注射で終わった。しかし、八幡の場合は注射を尻に打たれた。痛いものだった。  
 家が用意した洗面器の水で手をゆすぎつつ「暖かくなりましたねえ」などと世間話の一つもして医者は帰っていった。  
 で、子供のころは病気になると、普段よりいくらか大事にしてくれているような気がして、恩恵というほどのものではなかったが、その特別な雰囲気を享受した。ま、子供というものは案外抜け目ないものなのだ。

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