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盗人


 曲作りで七転八倒が続いた。やっと一曲の譜面を送付したところで一息。  ま、あたしの場合、曲作りとは脳味噌をひたすら執拗にかき回す事に尽きる。そりゃ、もちろん鼻歌レベルで次々にアイデアが浮かべば文句はないわけだが、そうもいかない。  
 一息ついたところで金の話だ。それも億単位の。億単位の金を持つどころか触れた事があるという人も少ないと思われる。ま、こちとらそんな機会が訪れることもなかろうと思っているわけだ。もしもだ、もしも宝くじなどというものが当たればなどと考える事もあるが、そんなものは夢というより悪い冗談といっていい。  
 写真は二億の現金。

 
 この二億という金を宝くじで手に入れたという一家が、事の顛末を語るテレビ番組を見た事がある。4人家族だったと記憶している。細君は水商売をやっていて、店の改築などに二千万ほどつぎ込んだらしいが、まだ一億八千万は残っていた。しかし、気が付くと2年ほどで使い切ってしまっていたという。それが何にどのような使い方をしたかという具体的な事柄は大してなく、なんだか無くなってしまったというのが実感だと語っておられた。確かに車は2台購入したらしい。一台はクラウンクラスの車で、もう一台は1500㏄クラスのもの。海外旅行も一度だけヨーロッパ方面に出かけたそうだ。主立った出費は上のようなもので、特に贅沢したということもないという。大きな出費の記憶はそんなものだったらしいが、それに付随する出費というものがあったかも知れないと仰って、思い出されたのが海外旅行に行かれた際に新調した衣類など。せっかくの海外旅行だからと、新しいドレスに靴にハンドバッグにと出費がかさんだような気もするってな具合だった。  
 たぶん金を出す際には、二億の内の百万と考えていた節がある。二億全体の中で考えれば百万など「ま、いいか」ってなものだったかもしれない。そこに落とし穴があって、いつの間にか元の金は七千万位になっていても二億の内のと考えていたらしい。細君は「また頑張って働けばいい」などと強がっていたが、旦那の方は金が入ったらあれもやってこれもやってと目論んでいた事が何も出来ぬまま終わって後悔しきりの様子だった。金というものはそんなものらしい。それで、また宝くじを買っているという夫婦の自嘲的な笑い顔が現実的で、「なるほどな」と納得してしまったのだ。  

 さて、タイで捕まった厚年基金元事務長の横領容疑は桁外れ。約6400万円の横領で逮捕されたが、 24億円が不明だという。この男は一時はロールスロイスに乗っていたというし、寿司職人を連れてハワイ旅行など常軌を逸した金遣いだったらしく尋常ではない。所詮は他人の金だから何の躊躇いもなくばらまいていたことが窺える。ま、そのような使い方であれば二十億だろうと百億だろうと使い切ることは造作もない。女の子にねだられ800万円もする家具一式を買ってあげたという話もある。要するに札びら切って大尽気分を味わうためだけの散財ってのが哀しい。人の欲は底なしで計り知れず、この男も熱に浮かれたようにアホなことを続けてきたわけだが、逮捕されたときの弁明が、罪の意識とかではなく大金を使いきって文無しになったことの後悔だけだったように見えて、おぞましさだけが残った。

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