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老いの伏兵


 小学生のころ、風呂といえば銭湯の時代があった。八幡の家には、それはそれは大きな銭湯まがいの丸い浴槽の風呂があったのだけど、ま、夜逃げ後はそのようなものにお目にかかれるはずもない。3年ほどを過ごした姫路では、風呂の備え付けのない公営住宅で、二区画ぐらい先の銭湯に通った。佐賀に移り住んでしばらくは間借りのような生活だったから、やはり5年ほどは銭湯に行った。井手さんだ。風呂屋に隣接する自宅の土間を解放し、みんながテレビを見ることが出来るようにした僕らの恩人だ。

   

 詳しく覚えているものでもないが、イメージはイラストのようなものだ。僕らは単に風呂屋としか言わなかったが、いわゆる銭湯には鉄製の大きな体重計が欠かせなかった。脱衣棚は長嶋人気で3番が空いていることは滅多になかった。子供のころは、風呂は面倒くさいもので、出来るなら行きたくなかったが近所の悪ガキと連れ立って、どちらかといえば遊び感覚で行った。  

 それで、そのころの記憶というか、トラウマみたいなものなんだが、お年寄りに会うのが苦手になった。老人というものは正面から見れば歳を召した貫録というかそれなりの風情があるものなんだが、後姿というものは修正の施しようがなく老いを隠せない。  
 で、ま、尾篭なというか口にするのは憚られる話で恐縮だが、いわゆる尻に老いは出るものなのだ。ふっくらした部分がそげ落ち貧相な尻になるのだ。こればっかりは、誰も抗うことは出来ないらしい。で、普段、風呂上がりでなくとも、自分の後姿など見ようとすることはないのではないかと思われるが、わたしの場合、子供のころ、その姿の切なさに気付いていたわけだ。
 で、いま、鏡など見ずとも、あの年寄たちのように自分も老いていることに気付き、尻たくなかったなあなどと嘆いているわけだ。

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