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 男というものは、どういうわけか度々女性とのお付き合いでヘマをしてご内儀の怒りを買ったり、職場であらぬ噂が飛び交い立場が悪くなったりする。巧みに事を運びヘマをしないヤツもいるが、どちらかと言えばずっこけて蒼ざめる羽目になる方が可愛げがあっていい、ってのは勝手な言い分だが、誰にもバレないように出来るヤツってのは油断ならないというか信用できない。



 若いころ、頻繁に付き合いのあったピアニスト兼作編曲家がいた。歳を取るごとに少しは売れたことで偉くなってしまったのか、尊大な態度で人に向かうようになり、それを見るのが嫌で少しずつ遠ざかるようになっていった。彼は「女と付き合うために仕事をするんだ」などと女好きを公言するバカだった。勝手にすればいいものを皆に言うことはない。そんなこんなで些か辟易していたころだ。
 渋谷のスタジオでの仕事を終え、渋谷駅前の交差点の先頭で信号待ちをしていた。左折して代々木公園方面に向かうところだった。いきなり、ヒラヒラと派手な衣装を翻し、踊るようにステップを踏む女性が目の前に現れた。蝶と言うより蛾のように見えた。「まあ、なんとけばけばしい」と少々呆れていると、その後からにやついたおっちゃんが登場したのだ。でかい態度もそこそこのあいつだった。「エッヘッヘッ、凄いのを選んじゃうんだな、公言するだけあって面目躍如たるものがあるなあ」などと感心しつつ、しかしながらとんでもない現場を見てしまったなあ、と笑ってしまったのだ。まさかそれを話すわけもなく、ほどなくして会わなくなっていったのだけど、広い東京などとは言っても、どこに誰の目があるか分からないものだと思ってぞっとした次第。

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