☆☆☆

青空


 たびたび出てくるこどもの頃の話だ。小学4年生か5年生か、そのあたりだったと思う。放課後の校庭にはたまたま誰もいなかった。風もなく穏やかな日だった。運動場の真ん中でふと空を見上げると雲ひとつなく晴れ渡っている。当時はたいして高い建物があるわけもなく、空はやたら広かった。その広い空を見上げていると、地球そのものを感じることさえできた。



 そこで突然こう思ったのだ。「あと100年後、今この世にいる人はほとんどいない」。誰しもが何らかの形で考えてしまうことかも知れないが、それを思ったときの禍々しさを覚えている。この世の摂理を体感してしまったような気分になった。もちろん10才やそこらで怖れなどを抱いたわけではなく、それは漠然とした快感に近い発見のようなものだった。この世の成り立ちを知ってしまったわけだ。あれから半世紀は優に過ぎた。人の一生は川のようなものに違いなく、滔々とした流れはやがて滝になる。自分がいる場所は、たぶん滝が近いのだろうということはよく分かるってな案配なのだ。

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