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それでも先へ


 決勝トーナメントに進むための大事な試合は妙な展開になってしまった。先に進むためには止むを得ない選択だったとか、それにしてもみっともないとか賛否両論あることは分かる。実際、選手たちが好き好んであのような試合運びをしているとは誰も思っていない。下手に動いて加点されれば、それこそ万事休す、そこで終わってしまうわけだから仕方ないとは言える。



 ロンドン五輪のバドミントンの試合で無気力試合があった。女子ダブルスの一次リーグで、韓国、中国、インドネシアの計4ペアが準々決勝以降の組み合わせを考えて故意に負けようとした。観客からはブーイングがあり、審判は再三にわたり真面目にやるように警告した。その際も先の展開を考えた戦略であるとの主張だったが、4ペアは何れも失格になった。ま、正しいジャッジだった。
 さて、今回のサッカーも先のバドミントンの件と何ら変わることのない展開だったことは間違いない。ここでペナルティが課せられレッドカードにでもなるのであれば、あの展開には行けない。ことの是非は運営側にある。あのような選択が可能であることにこそ問題があって、それを選ばざるを得ないチームには、現時点ではルール違反でもなく苦渋の選択であるにせよ基本的なミスはない。海外のメディアが非難するようにみっともないやり方ではあったけど。過去にも同じような事はあったらしいし、ルールを改正するべきだと思う。

 それにしてもサッカーの試合というものは乱暴というか、全然フェアではないことに改めて驚いた。昨夜のポーランドチームも体当たりをする場面が多く見られたし、日本側だって負けちゃあいない。シャツを思いきり引っ張ったりして対抗していた。審判の目に付いた場合はペナルティが与えられるが、あちこちで小競り合いを繰り返す様子は子供の喧嘩のようにも見えた。アメフトと少々違う点は、大っぴらに体当たりが出来ないことぐらいだ。故意に足をかけたかどうかも微妙に見えるし、そこら辺のさじ加減は実戦で鍛えていくものらしい。

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どたばた


 七夕が近い。七夕ってーものをどのように楽しむのか、何か決まりごとがあったという話もなく、何も起きないうちにその日は過ぎてしまうのだけど、その儚げな趣というか情緒が日本らしくシミジミとした日だと思える。彦星がどうだこうだなどと聞いてはいたが、そんなものはついでに聞くような案配で、じつのところ笹に飾り付けをするという発想が儚さに拍車をかけるのだ。笹に短冊や飾り付けを張り巡らせようとしてもだいたいうまく行かない。少しでも重ければ枝は垂れ下がるし、美しく凛とした佇まいに仕上げるのは至難の技なのだ。それでも七夕と聞くと何かしら郷愁のようなものを感じるのは、子供のころの数少ない参加できるイベントだったせいかもしれない。
 平塚の七夕祭りは有名で、平塚に住んでいた義姉が一度は見に来いというもので、出かけたことがあった。海軍火薬廠があった平塚は終戦前の7月の空襲で市の7割方が消失する被害を被った。戦後の復興に際して、仙台に習って七夕をメインにした祭を開催したのが昭和26年。そこから続いている。最初に見たときは唖然とした。なにしろ何もかもが大きい。笹に遠慮がちに括りつけた短冊とは違うというか、もう別物。大きなビニール製の筒のようなものはドロンと上から垂れ下がるし、儚げな情緒は誰も目指していない。例えば、透き通ったガラスの皿に載った和菓子などを頂きましょうとテーブルにつくと、てんこ盛りのたこ焼きが出て来たような違和感がつきまとう。写真を見ても分かるように、あんたパチンコ屋の開店祝いじゃないんだからさ、と言いたくなるようなけばけばしさ。ま、復興の景気付けとあればドッカンと行くしかなかったってのは分かるけど、七夕じゃなくても良かったような気がしたのだ。

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蹴球


 待ってはいなかったが、「お待たせしました」とでも言うように突然夏になった。ま、暑い。



 ウチの猫「みかん」を保護したのもちょうど今の季節で、その年もワールドカップをやっていた。調べてみると、その年の開催国は日本と韓国の合同開催だった。そんなことはまったく記憶になかったが、連日サーカーで盛り上がっていたことだけは覚えている。先日のセネガル戦を見た。セネガルは速いし個々の身体能力がとてつもなく高く見えた。先制点を奪われたあたりで、これは勝ち目がないかもと思わされた。しかし日本は崩れなかった。同点に追いつき、リードされた後半でも見事にイーブンに戻した。たいしたものだと感心した。こうなったら決勝トーナメントに駒を進めることを期待するし、次の試合はテレビの前でミーハーしなきゃと思う次第。

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「なじか」は今知った




 いつだったかは正確に覚えているものでもないが、小学生のころだったかと思う。「ローレライ」という曲を歌った。「なじーかは知ーらねえーど、ここーろわーびーてー」というやつだ。それで、歌わされる度に分からないなーと思っていたのが「なじーか」だった。「しか」というからには鹿かもしれないけど、まさかそんなことはないよなあってんで、鹿のような鳥のようなものがいつも浮かんでは消えていた。詳しく調べることもなく、いつの間にかそんなことは忘れていたわけだが、こないだ突然思い出した。ま、歌っているときにもそうではないかと思ってはいたが、「なじか」は「なぜか」だった。近藤朔風の作詞で「なじかは知らねど心わびて 昔のつたえはそぞろ身にしむ さびしく暮れゆくラインのながれ いりひに山々あかくはゆる」と続くわけだ。いわゆる文語体というか古語で書かれていて、それが曲の趣を決定しているから現代語に直せばいいというものでもない。「やまのあなたの空遠く・・・・・涙差しぐみ帰りきぬ」と同じような案配だ。このハイネの詩の訳は明治42年に出版されている。古めかしくてもおかしくないというか、古めかしくて当たり前の時代だ。


 
 上のような歌詞カードを見るとさらに納得は深まる。下のものは右書きだから戦後のものだと思われるが、このような唱歌集に収められていたのかもしれない。


 ライン川流域の突き出た山がローレライだが、この流域は狭い川幅に加えて流れも速く、さらには岩場でもあったので多くの舟が航行に気を使う難所であったらしい。それで岩山に佇む少女が船頭を誘惑して事故を起こさせるというような伝説が生まれた。



 そもそも少女の存在はブレンターノが1801年に創作したもので伝承ではないらしいが、恋人の不実に絶望しライン川へ身を投げた少女という設定がいかにも伝説であり、多くの作曲家がこの題材を取上げた。


 今や絶好の観光地でもあるローレライにはきっちりと像も建っていて万事抜かりはないのだ。



 それで、近藤朔風という訳詞家なのだが、ローレライの他にも「わーらーべーは見ーたーり、野中のばーら」ってのも、「泉に添いて 茂る菩提樹」ってのも彼の手がけたものだった。僕らはよく知らずに彼の訳詞に親しんでいたわけだ。ま、お若い方々はご存知ではないだろうけど。

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逃げ場


 乃南アサの小説「いちばん長い夜に」の後半に東日本大震災の描写がある。主人公が仙台で遭遇する様子が書かれているわけだが、これがかなり生々しい。地震の様子もかなりの迫力だが、その後の展開だってリアルに表現されている。あとがきを読んで納得した。この件は乃南さんご自身の体験だったのだ。たまたま3月11日に仙台にいらしたわけだ。東京の揺れだって相当なものだったから、仙台の揺れが尋常ではなかったことは想像に難くない。夜になれば街の灯はすべて消えていて真っ暗闇。いくつかのホテルなどでは予備電源で明かりのついた部屋も用意されていたらしいが、街は暗闇で、あまつさえ余震が頻繁に起きる。誰もが不安な夜を過ごしたに違いない。乃南さんはタクシーを乗り継いででも帰ろうとなさった。仙台から福島、宇都宮と3台のタクシーを乗り継いで翌日の朝には帰京なさっている。途中、道路が隆起していたり、がけ崩れで土台を失った道路が宙に浮いていたり、さらには犬の死骸もあちこちに転がっていたという。そのようなことを小説の中に折り込まれている。町の警察署には人の気配が希薄だったそうだ。その時点では沿岸部を襲った津波の情報は伝わっていない。おそらくそちらに駆り出されていたものと思われるが、その上に福島原発の事故の情報が入ってくる。読んでいるうちにあの日の記憶が蘇ってきた。



 震災後については多くは触れていないが、いくつかのトラブルには言及されている。なにしろ、津波の被害があまりにも凄まじくて、その他のことに関してはあまり情報はなかった。例えば原発のトラブルで立ち入り禁止になった地域でATMが破壊されて金が盗まれたというような話は聞いたし、その額は5億だとか6億だとかいうものだった。しかしながら、そのような犯罪と一線を画するというか、悲惨なのは避難所の生活だ。盗みや諍い、果てはレイプまでもが起きていたらしい。混乱に乗じてかき乱す輩は一人で多くの人を不快にさせる。阪神淡路の際にも、避難所では多くのトラブルが起きていたと聞いた。便所掃除の当番になってもやらない人などがいて、たびたび険悪になっていたという。そのような小さいことが度重なって人にストレスを与えるわけだ。ウチには猫が二名いて、避難所の生活は考えられない。考えただけでもゾッとするのだ。しかし、暖かい季節であればまだしも、冬であれば如何ともしがたい。行き場をなくして避難所に行かなければいけなくなるような展開だけは避けたい。考えておかなければとマジで思うのだ。

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