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4月になって



 毎年恒例、今日はパスタの誕生日と決めた日。実際は保護した日だが、この桜の咲く季節にパスタは文京区のどこかで産まれた。掌に乗る小ささで、ペット禁止の部屋には上着のポケットに忍ばせて持ち込んだ。アルミのペットボトルにお湯を入れ、火傷しないようにタオルでグルグル巻きにしてベッド代わりの箱の中に入れると、パスタはそれに跨がるようにしがみつき眠った。4月上旬はまだまだ寒く、毎夜のようにお湯を沸かして眠るのを見守った。そのパスタが18歳になった。すっかりおばあさんになり勢いはなくなった。怒りっぽいねこだから手を焼くこともあるが、今でも名を呼んで膝を叩くと、仕方ないなあとでもいう風に寄ってきて膝の上に乗って甘えて見せる。すっかり歳を取って食べるのだけが楽しみになったらしく、「あれっ、おまえさっき食ったじゃん」ってな展開になることも増えた。もちろんヒステリーを起こす前にいそいそと缶を開ける。



 「わたしも登場させるように」という声に従って、もう一名のみかんの写真も仕方なくアップする。「ついでかい・・・」という声が聞こえないでもないが、こっちの方はおじいさんになったという自覚はないらしい。「あんたと一緒にしないでくれる?」ってな調子で若干肥満気味ながらも元気だ。

 ところで、新しい元号が「令和」に決まった。予想が当たった人はいないらしい。「れい」という響きがなんとなく斬新で新鮮に聞こえるという向きが多い。しかし「れい」の漢字変換には2種類あってフォントによって違う。発表の際に書かれていたのは「令」という形だが、うちのパソコンの文字変換ではフォントを変えると2種類出てくる。どちらも正しいという。因みに右端のフォントは教科書体だ。一緒だと言われても、違う文字にしか見えない。左側の「令」は書きにくいような気もする。

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おい、めし


 いつの頃からか昼寝が欠かせなくなった。加齢による疲れから来るものなのか昼の1、2時間の微睡みが殊の外心地よい。特に午前中のトレーニングが盛り上がった後は尚更で、この場合は完全な睡眠になる。邪魔するものは何もないと言いたいところだが、時々ねこ共の邪魔が入る。隣の部屋からみかんの声がする。ごはんの要求だ。「さっき食べたじゃん」と無視してみるが、声はどんどん大きくなる。たまらず「みかん!」と叫ぶ。すると一端声は収まり静寂が訪れるわけだが、その妙な間が曲者なのだ。しばらくすると「トトトトトトト」ってな足音が聞こえる。ベッド脇に到着。「うん」とか「おっ」ってな掛け声でベッドに飛び乗る。それからがすごい。何の躊躇いもなく、横になっているこちらの胸の上を歩いていくのだ。それで去り際に振り返り、こちらをチラッと見る。どうやら「これで分かったに違いない」ということらしい。それで「ごはんか?」と言うと、目を輝かして皿の前に急ぐ。ま、何だかんだ抗議活動も功を奏し、会話が成立したわけだ。



 パスタの我が侭ぶりも磨きがかかってきていて、ヤツは昨夜出して食べ残したものは食べ物と見なさない。まだたんまり入っているにも関わらず「ニャオー」と悲痛な声を出してみせたりする。あまりにも多く残っている場合は「ちゃんと最後まで食べろ」と叱る。渋々食べる。残りの量との兼ね合いで新しい缶が開けられるかどうかの判断は少し分かってきたらしい。仔猫のころ、忙しくしていたものだから家を空ける時間が長くなることが多かった。それで皿に食べ物を大目に入れて仕事に行った。そこらで不規則な食事時間の癖がついた。毎日同じ時間に食事を与えることが出来なかった。勝手気ままに要求することが当たり前になったのだ。そんな生活をしていて時々思うのは、「こいつらは飼い主などと認識していなくて、まかないのおっちゃんとして見ているに違いない」ということだ。

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はや幾年


 うちに猫が来てから18年も経った。2名になったのは2002年だから、ねこ2名との暮らしも17年目に入ったことになる。みかんが家に来たばかりの頃の写真だ。やはり手のひらサイズだった。



 以前はそうでもなかったが、近ごろは昔のねこの写真を見ると、とても懐かしく思えてついつい見入ってしまう。それも加齢によるノスタルジー症候群のようなものだろうけど、あの頃がフラッシュバックするのは不愉快なことではない。





 最初の数年ほどは2匹とも仲むつまじく、何をする時もいつも一緒だった。





 毎日のように訪ねてくる「ちび」も家族のようなものだった。窓を開けて寝ていた夏のある朝、3匹並んで寝ていて驚いたこともあった。



 パスタがみかんを避けるようになったのは、みかんが大きくなり過ぎ、ちょっとした猫パンチも威力が増したことにによる。じゃれあうことが難しくなったらしい。



 パスタが来た年、何かあると駆け込んだ雑司が谷のステップ病院の夫妻にも子供が産まれた。男の子だったか女の子だったかは覚えていないが、産まれて間もない子供を背負った奥さんが「パスタとXXは同級生」と鼻歌を歌っていたこと思い出す。その子も今年18。高校3年生だ。猫と暮らすことは癒しというものに尽きる。猫の所作で笑うことが多くなったし、ストレスを抱えていても猫がほぐしてくれたような気がするのだ。それで18年間だが、いくつかニュアンスは違うとはいえ、「ニャア」だけで意思の疎通が図れたことは信じられないほどすごいことだとつくづく思う。

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老いること


 すっかり歳を取ったパスタ。今日は一大決心をして何年ぶりかで洗うことにした。ちかごろ毛並みが悪くなっていて、フケのようなものも見えるし、艶は失われた。これは内臓とか口腔内の疾患などが影響するという。洗うにしても外見だけがマシになる程度で根本的な解決にはならないが、少しでも気分よくなればとの親心であって、断行するには一大決心というものが必要になる。なにしろ、ただでさえヒステリックになりやすい猫だ。あちこち引っ掻かれるのは覚悟しなければならない。まあ大変だった。迅速に行なうしかないわけで、終わりのあたりで引っ掻かれて傷になった。そう念入りに出来ないから行水させただけの体になった。



 加齢と共に体にガタが来るのは人と同じで、歯槽膿漏気味だったりもする。その手術を検討したこともあったが、手術に至るまでに何度も通院して入念な事前の検査の末に、どの程度の麻酔が適度かとかを考えるなどと悠長なことを言う。そんな検査に耐えられるとは思えないし、老猫に苦行を強いるのも躊躇われ、うがい薬のようなものを調達して自宅でケアすることにした。口が臭くなって一時は顔を背けるような案配になっていたが、最近は匂いが軽減したからいくらか効果はあるらしい。仔猫のころは歯磨きも励行していたが、次第に嫌がるようになり、マジモードで激昂するようになって止めた。



 なにせ17才だ。老猫だから腫物にさわるように気を使う。食欲は衰えないから今日明日ではないにしても、少々の覚悟は必要な気がしていくらか気が重い。

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寝床



 今年の薔薇もそろそろ見納めらしい。


 しかしながら、おっちゃんとしては次の手をちゃんと用意していて、薔薇の花の間から出番を待つ紫陽花が見える。抜かりないなあってなものなのだ。



 一ヶ月ほど前、ねこ共のために新しい寝床を買ってきた。冬の間はホットマットの上にしかいないわけだが、さすがに暖かくなってくれば電源は落とす。それでもマットの上に寝転がっているから、ちゃんとした寝床を与えようと思ったわけだ。



 みかんは見るや否や入り、お気に入りの場所になった。ところが、パスタ様の方は気に入らないらしい。ねこの大きさに合わせて2種類買ってきたが、その大きさの違いが気に入らないのか「ほら、ここで寝んだよ」と入れてもすぐ出てしまい、マットの上に戻る。「ええい、むつかしい猫め」ってなものだ。ところが、ところがだ。こないだ、父ちゃん指定席の大きなクッションのカバーを洗うために中を出していた。その肌触りが心地良いのか、大きさが自分にピッタリだと思っているのか、寝転がってご満悦の体。しばらくは離れず、父ちゃんは居場所を無くしてしまったのだ。「この潤沢な有り様ってものがあたしにピッタリなのよねえ」と言っているのかもしれない。

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