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サックスが好きなのかどうかは、よく分からないけど



 小学校時代の同級生女史から来た今年の年賀状に「まさか70になるなんて考えもしなかったのに・・」と書かれていて笑えたわけだが、間違いなく僕らは古希と呼ばれる領域に達してしまう。奏者としての活動もめっきり減り、ライブをやっても集客状況は悲惨なことになってきたし、ま、大方の役目は終わったのだろうと思ってはいる。では、それでも毎日のように楽器に触れて鍛練らしきものを続けるのは何故かと訊かれると、趣味的なものだと言えばそうだけど、実のところ答えようがない。継続は力なりとは言うけれど、その継続に思ってもいなかった心のパワーが必要なことは確かで、何とか奮い立たせるだけの自分への申し開きというか、折り合いのポイントを見つける重要さも確認できる。近ごろは吹奏楽部が女子のための部活動になっていて、サックス吹きも女の子ばかりが取り沙汰されるようになってしまった。僕らが若いころも日野皓正さんがそうだったように、ジャズは時代のファッションとして脚光を浴びるジャンルだった。服飾メーカー「ヴァン」の広告塔として、ラッパを手にしたサングラスの日野さんの写真をあちこちで見かけたし、それは、ま、格好良かったから、上京して初めて渋谷の「オスカー」でクインテットを聴いたときは感激したものだ。それに取って代わり、ここ数年は若い女性のサックス奏者が、さらにファッションとしてジャズの世界を賑わせているわけだ。もちろんその傾向は日本だけでなくアメリカでも優秀な女性奏者は多い。韓国系のグレース・ケリーとかメリッサ・オルダナとか枚挙に暇がないほどだ。特にケリーは多くの巨匠たちが支持する通り、並外れたセンスを持った音楽家だ。注目される奏者の中にはへーっと驚くデータの豊富なプレイヤーもいるが、ちょっと待て的に違和感を感じることも多い。ま、否定的に言うものでもないが、おっさんの居場所は実力不足も相まって無くなったような気がしたりするわけだ。
 で、ここに来ても、自分の鍛練の向かっている先に見えているものが増殖し続けていることは確かなのだ。アメリカの若手から中堅どころには目を見張るような奏者が多い。その誰もがデータではなく、新しい道を示している。アルトサックスのパトリック・バートレイはスタンダードなものからオリジナルまで抜かりない。すでにベテランの域に達しているウォルター・スミスのテナーも素晴らしいし、ベン・ウェンデルの巧みさには舌を巻く。彼ら多くの規範になっているのは、どうやらジョシュア・レッドマンらしい。他にもJ・D・アレンとかリンカーセンター・オーケストラのテッド・ナッシュ、シャーマン・アービー、なんだかキリがない。そこに加えて、全盛期のズート・シムスとかマッコイ・タイナー、ブラッド・メルドーなどにもやられっぱなし。はっきり分かるのは、こうやってあれこれと感心しつつ驚きつつ死んでいくのだろうなってなことだ。

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