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リペアー


 今日はテナーのオーバーホール、いわゆる全タンポ、バネ、フェルト交換するリペアーに出すために久々に新大久保の高橋楽器へ。昨日の内に出したかったのだが、この付近の日曜日は恐ろしく混雑するので今日に変えた。韓流の街としての勢いはまだ続いていて、月曜日でも人通りは多い。昔は歩いている人もまばらで静かなものだったが、やたら若い女の子が目立つ。ヨンさまに端を発したブームは形を変えて今も続いているらしい。街が賑わうのは結構なことだが、駐車場の問題をなんとかして欲しい。今ほど厳しくなかったころは大久保通りに路駐して楽器を出すぐらいは簡単にできた。しかし、今はほんの5分ほどでも油断できない。それでコインパーキングの利用と相成るが、20分300円はありがたくない。小走りで楽器を届け、中走りで戻るってな案配だ。



 ここの店主はほぼ同年代だが、最初に来たときは先代の時代だったし、彼がいた記憶がない。たぶん、後継ぎとして働き始めたのは何年か先のことだったように覚えている。それで、今でも彼を高橋楽器の兄ちゃんとして見ていたわけだ。しかし、今日「あたしもね、来年古希の大台ですよ」と言うと、息子である職人が「うちの親父はついこないだ70になりましたよ」などと返ってきて驚いた。そうか、もう兄ちゃんでもなんでもなく、先代と並ぶオヤジさんで間違いないのだ。最初にこの店に来たのが二十歳の時で、その時の先代が40代後半かというところだったと思われる。あれから50年が経ってしまっているわけだ。知らない内に、というか知ってはいたが数えない内に。全ての楽器のリペアーはここでやってもらっていて、他の店に出したことは一度しかない。定休日で都合がつかず違う店に出したが、なんだかしっくり行かなかった。全幅の信頼を置いていると言ってもよく、ここでリペアーしてうまく鳴らなかった場合は吹き手に問題があるのだと思っているのだ。
 オーバーホールの後は少々響きが変わる。というのもあちこちの不都合を技術的にカバーして鳴らしていたわけだから、奏者側が是正を余儀なくされるのだ。クラシック界では名の売れた奏者が「あたしなんざ、もう何年もタンポ交換などしたことがないですよ。ほら、手に汗をかく体質じゃないから金属が傷むのも少ないし、第一ね、そんなに無茶な吹き方していなければ、楽器ってのは案外鳴るもんですよ」と曰い、「えっ、そうですか」と目を丸くして驚いたことがあったが、そんな強者だっているのだ。ただ、微細なものでもどこかから息が漏れる、ようするにどこかのキーのパッドがずれて洩れている場合は、全キーを押さえた最低音が鳴りにくくなる。先日のライブで「こりゃあ、限界かな」という瞬間があった。それで、今日の駆け込みになったわけだ。その修理代金だが、ま、だいたい、その10万円前後かかる。オーバーホールでなくとも、年一度微調整に出す毎にその半分はかかるから、楽器が多いとしかめっ面にもなろうというものなのだ。

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