☆☆☆

機材


 気温の上がった午後、焦ったようにツクツクボウシが鳴きだした。「えっ、これは鳴いておかなきゃ」ってな感じに聞こえて笑った。

  PCで打ち込みの音楽を作り始めてずいぶん経つ。シーケンサーそのものはDX7の後に買ったコルグのT3で始めた。見やすいとは言えない小さなウィンドウで確認しつつチマチマと鍵盤を弾いていた。それでも、その頃作ったいくつかの曲はアルバムに収録したから、その気さえあれば機材はなんでもいいらしい。周りでMacが俄然注目を浴び始め、その注目度はiMacが登場した辺りでピークを迎えたわけだが、Macを入手したときはまだまだ値段が高く、クラシックという一体型のものでも今のiMacが2台買えるような価格だった。そのクラシックとパフォーマーというシーケンサーソフト、ミディ・インターフェイスを買ってきてPCでの作業が始まった。当時はシーケンサーソフトの説明書が邦訳されていなくて、ベーシストが翻訳したものがあったが、それだって一万円近くした。とにかく金食い虫的な旅が始まった。キーボードも4台買ったし、音源モジュールも次々と増えていった。2005年にアルバムを作ったとき、外に持って行く必要があってシステムを全部ばらした。その際にリムーバブル・ハードディスクが飛んで使えなくなり、サンプラーが使用不能になった。アルバムの録音が終わると、すっかり出し殻のようになってしまい、システムを再構築することなく4年ほどが経った。再開したころにはPCを取り巻く環境が変わりつつあった。数々の名機を生んだエンソニックは合併で消えていたし、サポートも無くなっていた。使い慣れたキーボード類も次々に不具合を見せるようになるし、また機材を買い替えるのも躊躇われた。コルグのキーボードはだいたい液晶のパネルが読み辛くなった。ミキサーは3年もすれば接触不良でおかしくなる。消耗品に金をつぎ込むのが馬鹿馬鹿しくなって、この5年ほどはキーボード2台だけでやっていた。曲を作るだけならそれでいいが、ちゃんとしたサウンドのデモを作ろうとすると、やはり昔の機材が懐かしくなる。そこで今さらなんだが、システムの再構築を始めた。鍵盤は3台だが2台は音源としてだけ使用。そして、ついに今日エンソニックのASR10Rを繋いだ。昔の機材だからハードディスクは接続がSCSIのものを使うしかないわけだが、入手の目処が立った。これは個人的にとても目出度いことなのだ。写真の上のものがそれで、その下はオーバーハイムのマトリックス、ウォルドルフのマイクロウェーブ。ASRは発売当時42万円もしたらしい。とんでもない価格だったわけだ。そんな大金をはたいた記憶はないが、マトリックスが10万円ほどで安いと感じたわけだから機材入手の際は金銭感覚がおかしくなっていたらしい。



 次から次へとPCもディスクも買い替え、ソフトのバージョンアップにもつぎ込んでいたことを思い返せば、これはアホな道楽ってのが正しい。

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